車の運転中、突然警察に止められたら…
暑い暑い昼下がりのことでした。
家から2キロ弱でしょうか。
車で走行中、路地から急に出てきたバイクに乗った警官。
私の車の前にまわり、右手を挙げて制止された。
『???』
訳が分からず、停車した。
ブレーキを踏んで車が完全に停止するまでのわずかの間に、
私、何かしたっけ?
携帯はカバンの中…
シートベルトはしている…
スピード出してたっけ…
いろんな事を考えた。
見ると、警官がもう一人、警棒を振り回しながら何かを追いかけている。
なんと、鹿だ。
道路を鹿が走っている。
安全を考えて私の車を停めてくれたんだ。
見ていると、鹿は周辺で唯一の田んぼの中を走り回っている。
他の地域の人に言うと、
「えっ、あんな市街地に鹿?うそぉ」
と必ず返される。
それが出るんです。
鹿、猿、狸、狐、野うさぎ、イタチ、マムシ…
義母によると、昔は動物なんて見ることはなかったらしい。
開発が進んで、山だけでは生きられなくなったのだ。
決してこの辺り、そんなに田舎じゃないんです。
交通の便はいいし、駅は近いし。
本当は迷惑なんでしょうね、動物たちのほうが。
安心して棲める場所がなくて。
あの鹿は無事山へ帰ったのでしょうか?
とにかく、違反で止められたのでなくて良かった。
コンセプトは気取らず
小さな記憶に救われることもあるかも