ある日(母さんの場合)
障がいを持つ長男(29歳)の通う施設が休みの日。
ドライブが好きな長男は、休日はだいたい車で出かける。
今日も朝起きて、食事や身支度もそこそこに
「行きたい!」
長男は言葉は持ち合わせていないので、
もちろんゼスチャーと眼力で訴える。
いつものことなので、
「よしよし、今日はどこ行く?」
お金がかかるので高速道路は使わない。
そんな一日を簡単にご紹介をば。
1日かけて、走行距離は350㎞。
(この日は随分少ない)
トイレ介助に失敗して母の手はびしょ濡れ。
(おしっこです)
便秘症で、なるべく休日に解消させたいので医師処方の下剤を服用。
夜にもよおす予定が、ドライブ中に…おもらし
(今度は大のほう)
仕方ないんです。
トイレの自立ができていないので。
そしてそのまま、居眠り。
(よく眠れるよね、そんな状態で)
急いで狭い車中で着替えや後始末。
運悪く、豪雨で窓も開けられない。
本人は気持ちよくなったけれど、
車は鼻が曲がるような香りが…
帰宅後、入浴中湯船の中で再び大便を。
慌ててトイレに連れていき、座らせる。
その隙に汚してしまった風呂マットを取り替えていると
今度は便座カバーが汚れてしまい、
息子のブーイング。
やっとパジャマに着替えてベッドに入る。
母は、風呂場を掃除し、汚れたものを洗濯し…
そんな時、息子の部屋で物音がする。
『またか』
そんな気持ちで部屋を覗くと、
(吊下げ式の)カーテンを落として体に巻き付けて床に寝そべっている。
「もう寝るよ」
いつものやり取りをしてタオルケットをかけてやる。
毎晩2~3回は繰り返す。
その後、やっと風呂とトイレ掃除、洗濯が片付くともう11時を過ぎている。
風呂のお湯を入れなおすのは面倒なので、今日はシャワーでいいや。
つくづく思う。
私ってば、えらいっ!
こんな毎日を29年も続けているなんて!
普通の人ではありえないような出来事を、
たった一日で、しかもしょっちゅう味わえる。
もちろん、自分の子供でなかったらこんなに頑張れなかったかもしれないけれど…
コンセプトはなるようになるさ
やっと辿り着いた言葉
だって先は長いんだから